FASの起因とFASの発生に影響を及ぼす要因

胎児性アルコール症候群(FAS)は、妊婦のアルコール摂取が直接の原因となって引き起こされます。母親自身がFASを患っていようと、母親の両親のどちらかがアルコール依存症であろうと、妊娠中と授乳中に母親がお酒を飲みさえしなければ、産まれてくる子供に胎児性アルコール症候群が顕れることは絶対にありません。


ビール
は他の強いアルコール飲料に比べて『軽い』という先入観があるので、そういう意味では胎児成長にもっとも有害なアルコール飲料と考えられます。一般に信じられている説とは違い、350mlのビール1缶には、ウイスキーウォッカ等の強いお酒(蒸留酒)のショットグラス一杯分(約30ml)と同じだけの純粋なアルコール量が含まれているのです。

日本酒の小さいボトル半分には、蒸留酒のショットグラス一杯分と同じだけのアルコールが含まれています。

350mlの
ワインクーラー酎ハイなどにも、蒸留酒のショットグラス一杯分と同じだけのアルコールが含まれています。

こういったアルコール飲料の唯一の違いは、ウイスキーなどの蒸留酒よりも、ビールやワイン、日本酒、ワインクーラーの方がアルコール以外の液体と成分を多く含有している点です。しかし、
アルコールが母体内を巡り、子宮にいる胎児に影響を及ぼすという事実には何ら変わりありません


一日にたった2杯、または一度に4杯以上のなんらかのアルコール飲料(ビールやワインクーラーを含む)を摂取するだけで、胎児性アルコール症候群は発生します。母乳は血液からつくられるので、摂取したアルコールが血液中に含まれ、その血液からつくられた母乳を子供に与える事により、子供にも同様にアルコールを飲ませている事になります。つまり
授乳中の飲酒は子供が発達障害を患う可能性を高める原因になりえるのです。授乳中に飲酒する場合は、人工乳の使用をお勧めします。



その他の要因:

  1. 高齢出産であるほどFAS児は生まれやすい。

  2. 両親またはどちらか片方の親が長期間に渡り(10代、または20代はじめから)定期的に飲酒していた場合、受胎前の生殖細胞が破損されている可能性があります。長期間に渡る飲酒はアルコールへの耐性を高めるので、時間とともにより多量のお酒を消費することができるようになるので、母親が若い場合でもFAS児が生まれやすくなる。

  3. 母親が痩せている場合、アルコールが身体の外に排出される効率は通常より低い。

  4. 女性にとって一杯のアルコール飲料は、男性にとっての二杯のそれとほぼ同じ量に匹敵します。(女性は概して男性よりも体が小さく、女性ホルモンはアルコールを分解する酵素を阻害する働きを持っていますし、女性は男性より皮下脂肪が多く、アルコール分解に時間が掛かります。)

  5. 摂食障害、貧血、または全体的な栄養や肝機能といった母親の健康上の問題は赤ちゃんに影響を及ぼす。

  6. 食事前や空腹時の飲酒は、炭水化物を含む食事と一緒に飲むアルコールよりも害が大きい。

  7. 肝臓のアルコール処理能力は、ゆっくり飲むか、ガブガブ飲むか、飲み物と飲み物の間にどれくらい時間を置くか等、飲酒の仕方によっても左右される。一杯のお酒をゆっくり、時間をかけて飲めば、肝臓はアルコールをより効果的に分解できます。

  8. 父親の飲酒も胎児成長に影響を与えますが、胎児性アルコール症候群を引き起こすことはありません。



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